薪ストーブの住まい

冬の暮らしに安らぎと 楽しさを運ぶ薪ストーブ

Aさん宅は、玄関を開けると、広い土間に置かれた薪ストーブの優しい温もりと炎、吹き抜けのある開放的なLDKが迎えてくれるあたたかみに満ちた木の住まいです。

新築の2年前に、ご両親が減築リノベーションで実現した暮らしの様子が理想的だったことから、ご両親の家を手がけた芦野組に新築を依頼。薪を焚べ、炎を眺めてリラックスしているお父さんの姿を見て、新居に薪ストーブを採用したいと強く思ったといいます。「芦野組さんは施工事例の約半数に薪ストーブを採用しているので、間取りや仕様だけではなく、ストーブの機種選定まで安心してお任せできました」。これまでさまざまな薪ストーブを扱ってきた芦野組が「Aさん宅の空間と予算にぴったり」と提案したのが、国産の鋳物ストーブ「アグニ」でした。「針葉樹も燃やすことができるので、薪の樹種にも気を使わずにおおらかにストーブ生活を楽しめそうな点もいいなと思いました」と、Aさんは話します。

新居づくりの要になった薪ストーブは、キッチンや庭のテラスに隣接して設けられたタイル敷きの土間に設置されました。土間は、薪棚を設えた庭やウッドデッキと最短でつながり、薪の補充がしやすいよう配慮されています。年間の気温差が大きい旭川では、外気導入型ストーブは床下の結露の原因になるため、Aさん宅では外気導入型を採用せず、ストーブ横に専用給気口を設けました。

「LDKのどこにいても、ストーブがよく見えて、まさに暮らしの中心に薪火のある住まいになりました。休日に家族のために料理をよくつくるのですが、このストーブは実はクッキングストーブとしてもとても優秀なんです。キッチンとストーブの動線が短いので目が届きやすく、日常的に料理に使うのにも効率がいいですね」と満足そうに話すAさん。その言葉を継いで「引っ越したときにはすでに春で、ストーブの出番がなかったのが残念でした。今まで冬は寒くて苦手でしたけれど、これからは一年で一番好きな季節になりそうです」と、奥さんも嬉しそうに話してくれました。

カラマツ板張りの外観。大きく張り出した軒とストーブの煙突が、木の温もりあふれる外観のアクセントに
庭の一角には造作薪棚を設置。Aさん宅では建築端材を薪に活用。薪棚には既に約3シーズン分がストックされている
LDKのナラ床と段差なく続くストーブ土間。床に座って薪火を眺められるストーブ前は、家族のリラックスゾーン
炉壁には耐熱性の高いアイアンのパネル、土間には蓄熱性の高いタイルを張ったストーブまわり
土間に置く木製の薪ストッカーは芦野組が造作したオリジナルのもの
土間はダイニング・キッチンにも隣接。冬はストーブの薪火が、もう一つの調理熱源になる
屋根なりの勾配天井と吹き抜けがのびやかな空間をつくるダイニング・キッチン。家事をしながら、2階で遊ぶ子どもと会話も楽しめる
ナラ材とタイルを用いて造作した洗面台。収納がたっぷり設けられ、機能的につくられている
土間なので汚れを気にすることなく、庭から薪を搬入できる
1階LDKと2階フリースペースは吹き抜けでつながり、家族の気配とストーブの温もりが家中に満ちる
炎が美しく見える大きな窓や木のハンドルなど、インテリア性の高いアグニはクッキングストーブとしての機能も備える