薪ストーブの住まい

主役は薪ストーブ。 木の温もりに包まれた 省エネルギーな暮らし

Yさんご夫妻は帯広から旭川へ移住したのを機に新築を決意。Yさんの実家近くで土地を見つけたご夫妻は「体の芯から温まる薪火の魅力を暮らしの中で楽しみたい」と、薪ストーブを採用できる依頼先を探しました。そして出会ったのが、多くの採用実績を持つ芦野組でした。「仕事の丁寧さと地元で長く続いている工務店というのも、依頼の決め手になりした」。

そう語るYさんに芦野組は、主暖房を薪ストーブを使い、化石燃料への依存を最小限に抑えた住まいを提案。そして薪火の熱が家全体に行き渡るよう、建具を最小限にした開放的な空間プランをつくり上げました。旭川の厳しい冬への備えとして、補助暖房に立ち上がりの早い寒冷地用エアコン、土間にはガスセントラルの床暖房も設置。さらに、床の冷たさを解消するため、新しい試みとして第3種換気システムで回収した暖かな室内の空気を床下に排出し、室内の熱を床下コンクリートに蓄熱させる仕組みを導入しました。エネルギーの無駄遣いをすることなく、厳冬期も床が心地よい暖かさを保てます。

玄関土間からそのままつながるLDK、頭上には屋根なりのリブ天井まで延びる高い吹き抜け。木をふんだんに用いて設えた開放的な空間の中心に主暖房となる薪ストーブが設置されています。薪ストーブのある土間はリビングも兼ね、吹き抜けの採光窓やウッドデッキとつながる大開口から陽射しがたっぷりと入ります。「寒い季節は太陽の光と薪火の熱でコンクリートタイルの床が暖まり、サンルームのようです。あまりに心地よくて、家にいるときはほとんどリビングで過ごしています」と奥さん。

省エネ基準をクリアする住宅性能を備えた新居は、2LDKの旧居と比べ、光熱費が安く感じられるといいます。旭川では地域柄、薪が入手しやすく、今では薪代が灯油代よりも安くなっているといいます。「本格的に薪ストーブを焚く冬になったら、どのくらい光熱費が違ってくるのか期待しています。万が一の災害時の備えにもなり、安心して暮らせます」と、Yさんは笑顔で語ってくれました。

道南スギ板張りとモルタル仕上げを採用した、落ち着いた雰囲気の外観
地域柄、薪が手に入りやすいことも薪ストーブ採用の決め手になった。整然と薪が積まれた棚は、DIY好きなYさんのお手製。今後も増設の予定
玄関ポーチからウッドデッキには、夏の強い陽射しや、雨や雪を遮る深い庇を設けた。アプローチの階段には枕木を採用
玄関はそのまま、薪ストーブのある土間リビングにつながる。階段下を活用して薪やストーブまわりの小物の収納も設えた
薪ストーブは、側面からも薪を焚べることができるベルギーのドブレ社の製品を採用。この冬はストーブクッキングにも挑戦する予定
キッチン背面のアンティークガラスをはめ込んだ吊り棚、ダイニング側のカウンター収納などは造作仕様
2階ホールからの見下ろし。カラマツ無垢床やルーバー状に木板を張った壁、吹き抜けの手すりなど、ご夫妻の希望どおり、木の温もりに包まれるような空間に仕上がった
対面式キッチンには、食品庫を備えた。熱源は奥さんの希望でガスを採用し、コンロまわりの壁にはタイルをあしらった
1階東側に水まわりを集約。造作洗面台の左手に進むとユーティリティと浴室、反対側にはトイレを配置。洗面はトイレの手洗いも兼ねる
生まれてくる子どもの昼寝やプレイルームとしての活用を想定し、キッチンに隣接して小上がりの和室を設置。掘りごたつは閉じることもできる
土間リビングはウッドデッキにもつながり、薪動線の効率も良い。薪火の熱は吹き抜けを伝って、2階へと広がっていく
2階に設けた9帖のフリースペースは、将来は壁を設えて子ども部屋に替える予定
2階の眺めの良い場所にカウンターデスクと本棚を造作して設けたスタディルーム。吹き抜けと間仕切りなくつながり、階下の気配やストーブの温もりがそのまま届く