新築にあたり、庭を望むリビングの大開口に冬の激しい風雪を防ぐシャッター雨戸を採用しました。暑さが厳しい今年の夏は、熱い陽射しを遮るという想定外の効果もありました。不在時の防犯対策も兼ねています。併せて、どこにいてもスマートフォンで家のまわりの様子を確認できるカメラも設置。その画面に時々見まわりに来てくれている芦野社長が映っていて(笑)。地域の工務店の良さを、異国の地にいても感じています。
住まいの実例
昭和初期の台湾の面影と 東川町の四季を愉しむ家
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ル・コルビュジエ設計の階段を参考に、芦野組がリデザインした階段はアート作品のよう。質感豊かな大黒柱はナラの古材

薪スト―ブとハンス・J・ウェグナーのベアチェアを置いた青御影石張りの土間は、Tさんお気に入りのくつろぎ空間

階段を上りきると、屋根なりのリブ天井が間近に迫る。金色に塗装したアイアンの手すりが印象的

リビング・ダイニングと間仕切りなしでつながる開放的なキッチン。食品庫を備えた造作背面収納にも、Tさんが集めた茶器などが飾られている

玄関ホール、水まわりに隣接して、ゲスト用の洋室をレイアウト。東京に住むお母さんも時々やってきて、庭いじりを楽しんでいるそう

2階はTさんのプライベート空間。読書家でもあるTさんの要望で、造作本棚をたくさん設けた。障子と花窓を組み合わせた造作窓は、リビング吹き抜けに面し、緩やかに階下とつながる

トイレに隣接する造作仕様の洗面台は、トイレの手洗いも兼ねる。鏡を張った収納の上下には採光窓を設置

三和土(たたき)に御影石を張った玄関。隣接するシューズクロークの出入り口には、照明を仕込んだ花窓を設置

リビング東側の窓にはシャッター雨戸を備える。「北国ではあまり一般的ではない雨戸の採用にも、芦野組は柔軟に対応してくれました」とTさん

Tさん自ら台湾から運んだアンティークレンガを生かしてデザインした、趣ある玄関ポーチ

玄関前に一体型の屋根付きカーポート&ガレージを備えたTさん宅。ゆとりある敷地を生かし、地元の知人から譲り受けた銘石をあしらった庭も設えた
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住宅雑誌Replan150号 掲載物件
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建築データ
構造規模/木造(新在来工法)・2階建て
延床面積/107.65㎡(約32坪)
<主な外部仕上げ> 屋根/アスファルトシングル、外壁/1F:モルタル下地ベルアート塗 一部レンガ張 2F:道南スギ板張、建具/玄関ドア:木製断熱ドア、窓:樹脂サッシ(トリプルガラス)
<主な内部仕上げ> 床/ナラフローリング 一部石張、壁/珪藻土、天井/珪藻土・合板リブ
<断熱仕様 充填断熱+付加断熱> 基礎/ビーズ法ポリスチレンフォーム180㎜、土間/ビーズ法ポリスチレンフォーム50㎜、壁/高性能グラスウール16㎏105㎜+210㎜、屋根/吹込用グラスウール26㎏391㎜
<暖房方式> 薪ストーブ・ガスセントラル暖房
<冷房方式> エアコン
学生時代に起業し、台湾にビジネス拠点を構えるTさん。縁あって、東川町での新規事業立ち上げに関わったのを機に、台北と東川町を頻繁に往来するようになりました。
「ここでも友人がたくさんでき、本格的に腰を据えて二拠点生活をしようと市街地に隣接する土地を取得しました」。そして、地元の知人が「ここなら間違いない」と紹介してくれた芦野組に新築を依頼。「東京での暮らしが長かったので、東川の気候を熟知し、助言が具体的だったのが心強く感じました。また、細かな要望にも熱心に耳を傾けてくれる姿勢も嬉しかった」と、Tさんは芦野組との出会いを振り返ります。
プランづくりはインターネットも活用しながら、1年以上かけてじっくり行いました。Tさんは長く暮らした台湾の意匠、骨董を生かした住まいを希望。芦野組は、Tさんが東川の厳しい冬も心地よく、安心して暮らせるよう、断熱等級最高レベルの住宅性能もプランに盛り込みました。
長い構想期間を経て、2024年12月に完成した新居には、Tさんが台湾で見つけた古い花窓や花タイル、レンガが随所に散りばめられています。シノワズリーな空間のアクセントになっているのが、Tさんが「芦野組の丁寧な大工仕事で造作してもらった」という、ル・コルビュジエのデザインを参考にした階段。「こうした無茶な要望にも、柔軟に応えてくれたのが嬉しくて」と、声を弾ませて語ります。
階段の前には、青御影石を敷いた土間と薪ストーブが設えられ、床暖房とともに、冬の暮らしを優しく暖めています。朝はストーブ脇の大開口から朝陽がリビングを貫くように射し込み、黄昏には花窓の繊細な影が室内に映り込みます。
「台湾の風水を取り入れ、建物の配置にもこだわったかいあって、東川町ならではの光の四季を感じられる住まいが実現できました。帰るのが楽しみになる、心からくつろげる住まいに大満足です」と、笑顔で話すTさんです。